ラテン語学校(ラテンごがっこう、英語: Latin school)は、14世紀から16世紀にかけてのヨーロッパ(特にカトリック圏)における中等教育のための学校で、イングランドにおけるグラマースクールに相当する。入学が許されていたのは男子のみで、女子はアカデミックな教育は必要ないとされていたためだった。教育の重点が置かれたのは、その名の通りラテン語の修得であった。ラテン語学校における教育においては、複雑なラテン語文法の学習が重視され、特に初期においては中世ラテン語がその対象となっていた。文法学は、トリウィウム(三学)の中でもリベラル・アーツ(自由七科)の中でも最も基礎的な学科であり、文法学を象徴する図像は、教師が生徒の懲罰に用いるカンバの枝むちであった。ラテン語学校は、生徒に大学への準備をさせるところであり、中流階級の生徒たちには社会的上昇を可能にする途でもあった。このため、平民の子弟がラテン語学校に学ぶことも珍しくなく、その多くは聖職を目指す者であった。14世紀にはヨーロッパの各地にラテン語学校が存在し、また、平信徒の子弟にも門戸が開かれていたが、後に教会は、いずれ聖職者となる者だけを教育する目的でラテン語学校を運営するようになった。1450年ころになると、ラテン語学校はルネサンス人文主義の影響を受けるようになる。イングランドではそのようにはなかったが、一部の国々では、大学や一部のカトリック教会がラテン語よりも各国語を重視するようになるにつれて、ラテン語学校は人気を失っていった。