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正義論 (ロールズ)
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『正義論』(A Theory of Justice) は、1971年にジョン・ロールズにより著された政治哲学の著作。1921年に生まれ、ハーバード大学で教鞭をとっていたロールズは本書で正義理論を展開することで、それまで停滞していた戦後の政治哲学の議論に貢献した。公民権運動やベトナム戦争、学生運動に特徴付けられるような社会正義に対する関心の高まりを背景とし、その後の社会についての構想や実践についての考察でしばしば参照されている。まずロールズはロックやルソーの政治思想で展開されている社会契約の学説を参照にしながら、社会を規律する正義の原理は、自己の利益を求める合理的な人々が共存するために相互の合意によってもたらする構想ととらえる。このような正義の原理を考案する方法を公正としての正義と定義する。しかし、正義を公正性から解釈することは功利主義で論じられている効率としての正義の概念と対立せざるを得ない。効率としての正義の問題点とは、社会の成員を全て同一視してその個性を排除し、また充足させる欲求の性質も効率的であれば区分されない。公正としての正義は功利主義の原理とは異なる二つの原理から成り立っている。それは、第一原理政治的自由や言論の自由、身体の自由などを含む基本的諸自由を全員に平等に配分する第二原理社会的または経済的な不平等を機会の均等を図りながら、最も不遇な人々の利益を最大化する(機会均等原理)結果的に発生した社会的・経済的不平等に対しては、最悪の状況は可能な限り改善する(格差原理)この二つの原理である。以上の正義理論は社会契約の仮想的状況から導出されるだけでなく、まっとうな道徳判断から帰納的に求める試みがあり、この手法はカント的構成主義と呼ばれている。カント的構成主義において人々は自由に正義の構想を形成する道徳的人格であり、社会は当事者の合意によって構築されるものである。この著作には、リバタリアニズムの立場からノージックによって平等主義的な再分配の原理に批判が加えられた。また、社会主義の立場からも、マクファーソンが資本主義的な市場の原理がロールズの理想的社会に含まれているという考察を行った。これら批判に対してロールズは自説を修正し、1993年に『政治的リベラリズム』を発表している。
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