駒競行幸絵巻(こまくらべ・ぎょうこう・えまき。以下「駒競」とする。)は、『栄花物語』巻二十三「こまくらべの行幸」(以下「こまくらべ」とする。)の前半部を絵巻化したものである。13世紀後半から14世紀初頭制作とされる。 完本は現存せず、静嘉堂文庫美術館と和泉市久保惣記念美術館に、零本(部分的に残ったもの)各一巻(以下、静嘉堂本・久保惣本と記す。)が分蔵され、共に重要文化財に指定されている。両者は、画風や物語の内容から、同じ巻が分割されたものと考えられる。 それ以外に、断簡と、江戸時代後期の、静嘉堂・久保惣本及び「断簡」には現存しない箇所を含む、摸本二巻が現存する。