説一切有部(せついっさいうぶ、梵: Sarvāstivādin, 巴: Sabbatthivāda, Sabbatthavāda)は、部派仏教時代の部派の一つ。略称は有部。説因部(せついんぶ、梵: Hetuvāda)、サルヴァースティ・ヴァーディン学派ともよばれる。紀元前1世紀の半ば頃に上座部から分派したとされ、部派仏教の中で最も優勢な部派であったという。同じく上座部系とされる南伝の上座部大寺派と並んで、多くのアビダルマ文献が現存している。 主観的な我(人我,アートマン)は空だが、客体的な事物の類型(法,ダルマ)は三世に渡って実在するとした。説一切有部は大衆部や経量部と対立し、大乗仏教からも批判されたが、大きな勢力を保った。