脱リン酸化(だつリンさんか、英: dephosphorylation)は、加水分解によって有機化合物からリン酸基(-PO43−)の脱離を行う反応である。アデノシン三リン酸(ATP)からアデノシン二リン酸(ADP)と無機リン酸への変換は、生体内での脱リン酸化反応のなかで特に重要である。リン酸化と脱リン酸化は可逆的な翻訳後修飾としても利用され、リン酸エステルの付加と脱離によって酵素の活性化や不活性化が行われる。 脱リン酸化には加水分解酵素(ヒドロラーゼ)の一種が利用され、エステル結合の切断が行われる。脱リン酸化に利用される加水分解酵素の主要な種類としてホスファターゼが挙げられる。ホスファターゼは、リン酸モノエステルをリン酸イオンとヒドロキシル基(-OH)へ加水分解することでリン酸基を除去する。 可逆的なリン酸化-脱リン酸化反応はあらゆる生理学的過程でみられ、生物の生存にはプロテインホスファターゼが正しく機能することが必要不可欠である。タンパク質の脱リン酸化は細胞のシグナル伝達に関与する重要な過程であり、プロテインホスファターゼは心疾患、糖尿病、アルツハイマー病などの病態に関係している。