『恍惚の人』(こうこつのひと)は、有吉佐和子の日本の長編小説。英語名は「The Twilight Years」。1972年に新潮社から「純文学書き下ろし特別作品」として出版され、1973年には森繁久彌主演で映画化された。たびたび舞台化されており、1990年には日本テレビで、1999年にはテレビ東京で、2006年10月には三國連太郎主演でテレビドラマが放映されている。 本作は認知症(認知症および老年学)を日本ではいち早く扱った文学作品である。1972年の日本の年間売り上げ1位の194万部のベストセラーとなり、これがきっかけで痴呆高齢者の介護問題にスポットが当てられることになった。その関心度の高さから「恍惚の人」は当時の日本で流行語にもなった。題は『日本外史』に三好長慶が「老いて病み恍惚として人を知らず」とあるのを見てひらめいたものである。 井上ひさしによれば、この作品のために有吉は10年近く取材をかさねた。 本作の収益で1974年に建てたとされる、出版元の新潮社の別館ビルは「恍惚ビル」と呼ばれた。