『少将滋幹の母』(しょうしょう しげもとの はは)は、谷崎潤一郎の長編小説。王朝物の時代小説である。美しい若妻・北の方を藤原時平に強奪された老齢の藤原国経の妄執の念と、その遺児・藤原滋幹が恋い慕う母の面影の物語。戦後の谷崎文学の傑作の一つとして多くの作家や文芸評論家から賞讃された作品で、高齢の谷崎自身の幼い頃の母の記憶、永遠の女性像を仮託している作品でもある。 1949年(昭和24年)11月16日から1950年(昭和25年)2月9日まで『毎日新聞』に連載された。単行本は1950年(昭和25年)8月に毎日新聞社より刊行された。以後これまでに幾度となく舞台化やドラマ化がなされ、海外でも翻訳がなされている代表作である。