対話体小説とは、基本的に地の文を持たず、カギカッコで括られる会話文だけによって成立する、あるいは大半がそのような体裁をもつ形式の小説である。 マヌエル・プイグは、この手法をよく用いるが、それは彼が映画監督や脚本家を目指していた人だからであり、映画的な手法であると言われる。たしかに、対話体小説は、戯曲、レーゼドラマ、レーゼシナリオと言われるものに近い。ただし、『蜘蛛女のキス』などは、一人の台詞がかなり長いので、その部分だけで独白体の短編小説のような趣がある。 なお、口語体で書かれる点で、書簡体小説と異なる。