『奇想的小品』(Pezzo capriccioso) 作品62は、ピョートル・チャイコフスキーが1887年の8月に1週間で書き上げたチェロと管弦楽のための作品。表題とは裏腹に、本作の調性は交響曲第6番と同じ物憂いロ短調である。気楽という意味で奇想的であるわけではなく、チャイコフスキーが単純な主題を様々な角度から奇想を凝らして扱ったという意味合いの名称である。急速なパッセージや長調への転調があるにもかかわらず、チャイコフスキーは基本となる律動と落ち着いた雰囲気で楽曲を貫いた。