多重質問の誤謬(たじゅうしつもんのごびゅう、英: loaded question, complex question fallacy)は誤謬の一つである。「多問の虚偽」や「複問の虚偽」とも。 多重質問(たじゅうしつもん、英: complex question, trick question, multiple question, 羅: plurium interrogationum)は、議論に関わる人々が受け入れていない、あるいは証明されていない前提に基づく質問。多重尋問(たじゅうじんもん)とも。それに起因する誤謬を多重質問の誤謬という 。たとえば「あなたはまだ妻を虐待しているのか?」といった質問がある。この質問に対しては「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが、「あなた」には妻がいて過去に虐待したことがあるということを認めたことになる。つまりこれらの事実が質問の「前提」とされたため、相手は多重質問の誤謬の罠にかけられ、一つの答えしかできない状況に追い込まれる。質問者は修辞的にこのような質問を行い、特に返答を期待していないことが多い。 このような質問が誤謬かどうかは文脈に依存している。質問が単に何らかの前提を含んでいるというだけでは、誤謬とはみなされない。その前提が自明でないものである場合のみ、この質問が誤謬となる。

Property Value
dbo:abstract
  • 多重質問の誤謬(たじゅうしつもんのごびゅう、英: loaded question, complex question fallacy)は誤謬の一つである。「多問の虚偽」や「複問の虚偽」とも。 多重質問(たじゅうしつもん、英: complex question, trick question, multiple question, 羅: plurium interrogationum)は、議論に関わる人々が受け入れていない、あるいは証明されていない前提に基づく質問。多重尋問(たじゅうじんもん)とも。それに起因する誤謬を多重質問の誤謬という 。たとえば「あなたはまだ妻を虐待しているのか?」といった質問がある。この質問に対しては「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが、「あなた」には妻がいて過去に虐待したことがあるということを認めたことになる。つまりこれらの事実が質問の「前提」とされたため、相手は多重質問の誤謬の罠にかけられ、一つの答えしかできない状況に追い込まれる。質問者は修辞的にこのような質問を行い、特に返答を期待していないことが多い。 もう少しわかりにくい例としては、「なぜ人を殺してはいけないのか?」や「なぜ宇宙があるのか?」といった質問が考えられる。前者は「(すべての)人を殺してはいけない」という前提を含んでいるが、死刑存廃問題を考えると、たとえば死刑囚を殺してはいけないかどうかは自明でない問題である。ところが、「なぜ」と問われると人々は質問に自明でない前提が含まれていることに気づかず(質問自体が擬似問題である可能性があるにもかかわらず)、誤りかもしれない前提を正当化する理由を無批判に考えてしまう傾向にある(これは確証バイアスと呼ばれる)。後者の質問は「宇宙が存在する」という前提を含んでいる。この前提はほとんどすべての場合明らかに正しいと考えられるが、哲学的なの立場では否定される。 このような質問が誤謬かどうかは文脈に依存している。質問が単に何らかの前提を含んでいるというだけでは、誤謬とはみなされない。その前提が自明でないものである場合のみ、この質問が誤謬となる。 関連する誤謬として論点先取がある。これは、結論が前提として使われている論証形式である。 (ja)
  • 多重質問の誤謬(たじゅうしつもんのごびゅう、英: loaded question, complex question fallacy)は誤謬の一つである。「多問の虚偽」や「複問の虚偽」とも。 多重質問(たじゅうしつもん、英: complex question, trick question, multiple question, 羅: plurium interrogationum)は、議論に関わる人々が受け入れていない、あるいは証明されていない前提に基づく質問。多重尋問(たじゅうじんもん)とも。それに起因する誤謬を多重質問の誤謬という 。たとえば「あなたはまだ妻を虐待しているのか?」といった質問がある。この質問に対しては「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが、「あなた」には妻がいて過去に虐待したことがあるということを認めたことになる。つまりこれらの事実が質問の「前提」とされたため、相手は多重質問の誤謬の罠にかけられ、一つの答えしかできない状況に追い込まれる。質問者は修辞的にこのような質問を行い、特に返答を期待していないことが多い。 もう少しわかりにくい例としては、「なぜ人を殺してはいけないのか?」や「なぜ宇宙があるのか?」といった質問が考えられる。前者は「(すべての)人を殺してはいけない」という前提を含んでいるが、死刑存廃問題を考えると、たとえば死刑囚を殺してはいけないかどうかは自明でない問題である。ところが、「なぜ」と問われると人々は質問に自明でない前提が含まれていることに気づかず(質問自体が擬似問題である可能性があるにもかかわらず)、誤りかもしれない前提を正当化する理由を無批判に考えてしまう傾向にある(これは確証バイアスと呼ばれる)。後者の質問は「宇宙が存在する」という前提を含んでいる。この前提はほとんどすべての場合明らかに正しいと考えられるが、哲学的なの立場では否定される。 このような質問が誤謬かどうかは文脈に依存している。質問が単に何らかの前提を含んでいるというだけでは、誤謬とはみなされない。その前提が自明でないものである場合のみ、この質問が誤謬となる。 関連する誤謬として論点先取がある。これは、結論が前提として使われている論証形式である。 (ja)
dbo:wikiPageExternalLink
dbo:wikiPageID
  • 1592350 (xsd:integer)
dbo:wikiPageLength
  • 4766 (xsd:nonNegativeInteger)
dbo:wikiPageRevisionID
  • 79054935 (xsd:integer)
dbo:wikiPageWikiLink
prop-ja:wikiPageUsesTemplate
dct:subject
rdfs:comment
  • 多重質問の誤謬(たじゅうしつもんのごびゅう、英: loaded question, complex question fallacy)は誤謬の一つである。「多問の虚偽」や「複問の虚偽」とも。 多重質問(たじゅうしつもん、英: complex question, trick question, multiple question, 羅: plurium interrogationum)は、議論に関わる人々が受け入れていない、あるいは証明されていない前提に基づく質問。多重尋問(たじゅうじんもん)とも。それに起因する誤謬を多重質問の誤謬という 。たとえば「あなたはまだ妻を虐待しているのか?」といった質問がある。この質問に対しては「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが、「あなた」には妻がいて過去に虐待したことがあるということを認めたことになる。つまりこれらの事実が質問の「前提」とされたため、相手は多重質問の誤謬の罠にかけられ、一つの答えしかできない状況に追い込まれる。質問者は修辞的にこのような質問を行い、特に返答を期待していないことが多い。 このような質問が誤謬かどうかは文脈に依存している。質問が単に何らかの前提を含んでいるというだけでは、誤謬とはみなされない。その前提が自明でないものである場合のみ、この質問が誤謬となる。 (ja)
  • 多重質問の誤謬(たじゅうしつもんのごびゅう、英: loaded question, complex question fallacy)は誤謬の一つである。「多問の虚偽」や「複問の虚偽」とも。 多重質問(たじゅうしつもん、英: complex question, trick question, multiple question, 羅: plurium interrogationum)は、議論に関わる人々が受け入れていない、あるいは証明されていない前提に基づく質問。多重尋問(たじゅうじんもん)とも。それに起因する誤謬を多重質問の誤謬という 。たとえば「あなたはまだ妻を虐待しているのか?」といった質問がある。この質問に対しては「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが、「あなた」には妻がいて過去に虐待したことがあるということを認めたことになる。つまりこれらの事実が質問の「前提」とされたため、相手は多重質問の誤謬の罠にかけられ、一つの答えしかできない状況に追い込まれる。質問者は修辞的にこのような質問を行い、特に返答を期待していないことが多い。 このような質問が誤謬かどうかは文脈に依存している。質問が単に何らかの前提を含んでいるというだけでは、誤謬とはみなされない。その前提が自明でないものである場合のみ、この質問が誤謬となる。 (ja)
rdfs:label
  • 多重質問の誤謬 (ja)
  • 多重質問の誤謬 (ja)
owl:sameAs
prov:wasDerivedFrom
foaf:isPrimaryTopicOf
is dbo:wikiPageRedirects of
is dbo:wikiPageWikiLink of
is owl:sameAs of
is foaf:primaryTopic of