『変身』(へんしん、Die Verwandlung)は、フランツ・カフカの中編小説。カフカの代表作であり実存主義文学の一つとして知られ、また、アルベール・カミュの『ペスト』とともに代表的な不条理文学の一つとしても知られる。カミュの『ペスト』は不条理が集団を襲ったことを描いたが、カフカの『変身』は不条理が個人を襲ったことを描いた。 この『変身』における不条理は、主人公の男が、ある朝目覚めると巨大な虫になっていたことであり、男とその家族の顛末が描かれる。 1912年11月に執筆され、1915年の月刊誌『ディ・ヴァイセン・ブレッター』10月号に掲載、同年12月に(ライプツィヒ)より「最後の審判叢書」の一冊として刊行された。カフカはこれ以前に執筆していた「判決」「火夫」とこの作品を合わせて『息子たち』のタイトルで出版することを考えていたが、採算が合わないという出版社の判断で実現しなかった。