『四畳半襖の下張』(よじょうはん ふすまのしたばり)は、永井荷風作の小説、および作者不詳の春本である。本項では主に後者について記述する。 小説は、荷風が1917年(大正6年)に、雑誌『』に発表した短編小説。古人「金阜山人」の手記を作者が紹介するという形式を取り、戯作に志す主人公がさまざまな経験を経て、最後には置屋の主人となるという筋。『荷風全集 第12巻』(岩波書店、1992年)所収。 春本版は、作者不詳ながら冒頭に「金阜山人戯作」とあるため、荷風の作と伝えられ、後述のようにそれを認める説が現在でも有力である。太平洋戦争中からその存在が知られ、戦後にカストリ本として流布され、春本における傑作の一つとされてきた。1972年(昭和47年)、雑誌『面白半分』に掲載されて摘発を受け、その後の「四畳半襖の下張事件」裁判において特に有名になった。