啄木(たくぼく)とは、雅楽における琵琶の曲の1つ。 平安時代の承和年間に藤原貞敏が唐より持ち帰った琵琶の三秘曲(啄木・・楊真操)の1つとされる。ただし、異説も入れると2種類のがあったとされている。 この3曲の伝授は真言宗におけると同じようにみなされ、その中でも「啄木」は秘曲中の秘曲とされた。平安時代末期の藤原孝道は、「啄木」の曲に執着するあまり病気になったと言われ、同じ藤原師長の門人であった藤原定輔とは「啄木」の伝授や後鳥羽院への御師役を巡って激しく争い、鴨長明が伝授を受けていないのに無断で「啄木」を演奏したとして後鳥羽院へ訴えを起こすなど、多くの逸話を残している。 現在、藤原定輔による伝授の記録や楽譜などが宮内庁書陵部の「伏見宮本楽書類」の中に伝存しているものの、曲そのものは失われてしまっている。これに対して、昭和時代後期に林謙三による曲の復原の試みが行われた。
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