句構造規則(くこうぞうきそく、英: phrase structure rules)は、統語論において、文の構成素構造を産み出す規則、およびそれについての研究を指す。1950年代にノーム・チョムスキーによって提唱された。 句構造規則は、自然言語の文を構成素に分解し、隣接する語句同士の意味的および機能的関係(句構造)を表そうとする方法論である。これは句構造文法という枠組の基本であり、単語同士の依存関係を探る依存文法とは異なる考え方である。また、たとえば「名詞句の前に限定詞が付いたものがまた名詞句になる」というような再帰性は、日本(日本語)では橋本文法の連文節や時枝誠記(時枝文法)の「入れ子」がこれに類似している。 句構造規則を補佐する形で変形生成文法が発展し、句構造規則そのものはXバー理論に発展した。Xバー理論は1970年代から1980年代にかけて生成文法の中核を成したが、それも1990年代にチョムスキー自身が提唱したによって(少なくともチョムスキー自身にとっては)取って代わられることになった。しかし、記号を用いた計算体系を生成文法に導入したという点において、句構造規則の貢献度は大きい。

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  • 句構造規則(くこうぞうきそく、英: phrase structure rules)は、統語論において、文の構成素構造を産み出す規則、およびそれについての研究を指す。1950年代にノーム・チョムスキーによって提唱された。 句構造規則は、自然言語の文を構成素に分解し、隣接する語句同士の意味的および機能的関係(句構造)を表そうとする方法論である。これは句構造文法という枠組の基本であり、単語同士の依存関係を探る依存文法とは異なる考え方である。また、たとえば「名詞句の前に限定詞が付いたものがまた名詞句になる」というような再帰性は、日本(日本語)では橋本文法の連文節や時枝誠記(時枝文法)の「入れ子」がこれに類似している。 句構造規則を補佐する形で変形生成文法が発展し、句構造規則そのものはXバー理論に発展した。Xバー理論は1970年代から1980年代にかけて生成文法の中核を成したが、それも1990年代にチョムスキー自身が提唱したによって(少なくともチョムスキー自身にとっては)取って代わられることになった。しかし、記号を用いた計算体系を生成文法に導入したという点において、句構造規則の貢献度は大きい。 このような規則による構文(文法)の記述は、自然言語よりむしろ形式言語(形式文法)との親和性が高く、そちらではこのような規則(構文規則)による記述はほぼ定番のものとなっている(もともとが、ポストらによる形式的な(formalな)記号の体系(形式体系)の研究に由来するものである)。また、チョムスキーの発表と時を同じくして始まりつつあった、コンピュータのプログラミング言語の構文を定義するものとして発表後すぐに応用され、バッカス・ナウア記法としてこんにちもコンピュータ言語などに使われている。 (ja)
  • 句構造規則(くこうぞうきそく、英: phrase structure rules)は、統語論において、文の構成素構造を産み出す規則、およびそれについての研究を指す。1950年代にノーム・チョムスキーによって提唱された。 句構造規則は、自然言語の文を構成素に分解し、隣接する語句同士の意味的および機能的関係(句構造)を表そうとする方法論である。これは句構造文法という枠組の基本であり、単語同士の依存関係を探る依存文法とは異なる考え方である。また、たとえば「名詞句の前に限定詞が付いたものがまた名詞句になる」というような再帰性は、日本(日本語)では橋本文法の連文節や時枝誠記(時枝文法)の「入れ子」がこれに類似している。 句構造規則を補佐する形で変形生成文法が発展し、句構造規則そのものはXバー理論に発展した。Xバー理論は1970年代から1980年代にかけて生成文法の中核を成したが、それも1990年代にチョムスキー自身が提唱したによって(少なくともチョムスキー自身にとっては)取って代わられることになった。しかし、記号を用いた計算体系を生成文法に導入したという点において、句構造規則の貢献度は大きい。 このような規則による構文(文法)の記述は、自然言語よりむしろ形式言語(形式文法)との親和性が高く、そちらではこのような規則(構文規則)による記述はほぼ定番のものとなっている(もともとが、ポストらによる形式的な(formalな)記号の体系(形式体系)の研究に由来するものである)。また、チョムスキーの発表と時を同じくして始まりつつあった、コンピュータのプログラミング言語の構文を定義するものとして発表後すぐに応用され、バッカス・ナウア記法としてこんにちもコンピュータ言語などに使われている。 (ja)
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  • 句構造規則(くこうぞうきそく、英: phrase structure rules)は、統語論において、文の構成素構造を産み出す規則、およびそれについての研究を指す。1950年代にノーム・チョムスキーによって提唱された。 句構造規則は、自然言語の文を構成素に分解し、隣接する語句同士の意味的および機能的関係(句構造)を表そうとする方法論である。これは句構造文法という枠組の基本であり、単語同士の依存関係を探る依存文法とは異なる考え方である。また、たとえば「名詞句の前に限定詞が付いたものがまた名詞句になる」というような再帰性は、日本(日本語)では橋本文法の連文節や時枝誠記(時枝文法)の「入れ子」がこれに類似している。 句構造規則を補佐する形で変形生成文法が発展し、句構造規則そのものはXバー理論に発展した。Xバー理論は1970年代から1980年代にかけて生成文法の中核を成したが、それも1990年代にチョムスキー自身が提唱したによって(少なくともチョムスキー自身にとっては)取って代わられることになった。しかし、記号を用いた計算体系を生成文法に導入したという点において、句構造規則の貢献度は大きい。 (ja)
  • 句構造規則(くこうぞうきそく、英: phrase structure rules)は、統語論において、文の構成素構造を産み出す規則、およびそれについての研究を指す。1950年代にノーム・チョムスキーによって提唱された。 句構造規則は、自然言語の文を構成素に分解し、隣接する語句同士の意味的および機能的関係(句構造)を表そうとする方法論である。これは句構造文法という枠組の基本であり、単語同士の依存関係を探る依存文法とは異なる考え方である。また、たとえば「名詞句の前に限定詞が付いたものがまた名詞句になる」というような再帰性は、日本(日本語)では橋本文法の連文節や時枝誠記(時枝文法)の「入れ子」がこれに類似している。 句構造規則を補佐する形で変形生成文法が発展し、句構造規則そのものはXバー理論に発展した。Xバー理論は1970年代から1980年代にかけて生成文法の中核を成したが、それも1990年代にチョムスキー自身が提唱したによって(少なくともチョムスキー自身にとっては)取って代わられることになった。しかし、記号を用いた計算体系を生成文法に導入したという点において、句構造規則の貢献度は大きい。 (ja)
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  • 句構造規則 (ja)
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