住血吸虫症(じゅうけつきゅうちゅうしょう、Schistosomiasis)は、住血吸虫科に属する寄生虫に感染することにより引き起こされる病気の総称である。致死率こそ高くないものの、長期にわたり内臓を痛める慢性疾患であり、社会的経済的影響が大きい。淡水産の巻貝が中間宿主となっており、皮膚を汚染された水に浸すことで感染する。 歴史的には、灌漑網を整備したメソポタミアやエジプトの初期農耕社会ですでに蔓延しており、日本には水田耕作とともに弥生時代に持ち込まれたと考えられている。アフリカや中東にかけてはビルハルツ住血吸虫症が今なお流行しており、ダムや灌漑水路の普及とともにますます拡大している。エジプトでは、1970年完成のアスワン・ハイ・ダムの貯水開始とともに感染が爆発的に拡大した。 WHOによれば、世界77か国で2億人以上が感染しているとされる。「顧みられない熱帯病」のひとつである。