住吉(すみよし)は神戸市東灘区にある本住吉神社を中心とした門前町であり、阪神間屈指の高級住宅地として知られる。旧・住吉村域にほぼ重なる。現行町名では神戸市東灘区内は、渦森台、鴨子ケ原、住吉台、住吉山手、住吉本町、住吉宮町、住吉東町、住吉南町、住吉浜町に相当し、神戸市灘区内は、六甲山町字五介山、同字西谷山に相当する。菟原郡にあるため、古くは菟原住吉(うはらすみよし)とも呼ばれ、俗に茨住吉(いばらすみよし)とも転訛した。東に松林の茂る住吉川の自然堤防、南に大阪湾、北に六甲山地とその中腹台地という地勢は近代的な住宅地としての好条件であった。住吉川沿いや山の手には谷崎潤一郎の倚松庵や、野村邸、住友邸、久原邸、安宅邸といった豪華な住宅が立ち並んだ。しかし昭和13年(1938年)の阪神大水害や第二次世界大戦の空襲で荒廃し、跡地はマンションとなり、戦前の住宅地であった赤塚山やその北の渦森は拓かれて高層アパート群となり、海岸は埋立てられて工業地となり、以前とは姿を変えてしまった。