バロック絵画(バロックかいが)は、16世紀末から18世紀なかばの西洋芸術運動であるバロック様式に分類される絵画。バロックは絶対王政、カトリック改革、カトリック復興などと深い関連があり、ときには一体化したものと見なされることもあるが、バロック美術とバロック建築の傑作は絶対主義やキリスト教とは無関係に、作品自身が持つ魅力によって広く親しまれ、受け入れられている。 もっとも重要で有名なバロック絵画は1600年ごろから18世紀初頭にかけて描かれた。バロック絵画は劇的な描写技法、豊かで深い色彩、強い明暗法などで特徴づけられる。ルネサンス美術とは異なり、バロック美術では大げさで芝居がかったような場面描写が好まれ、動的な躍動感あふれる作品が多く制作された。盛期ルネサンスの代表的な芸術家ミケランジェロは彫刻ダビデ像を、ゴリアテとの戦いを控えて沈思する人物として表現した。一方、バロックの代表的な芸術家ベルニーニは、ゴリアテに向かって石を投げつける瞬間をとらえたダビデ像を制作している。ルネサンス美術で賞賛された冷徹な理性ではなく、バロック美術では一瞬の感情や情熱の表現を追求していた。