『ディアナとニンフたち』(蘭: Diana en haar Nimfen)は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールが1655年から1656年ごろに描いた絵画。キャンバスに油彩で描かれた、縦98.5 cm、横105cmの作品で、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵している。正確な制作年度は不明だが、現存するフェルメールの絵画としては最初期の作品ではないかとされている。ただし、研究者によっては『マリアとマルタの家のキリスト』のほうが制作時期が古いとするものもいる。 『ディアナとニンフたち』に見られる粛然とした雰囲気は、女神ディアナやニンフを描いたその他の絵画作品とはかなり趣が異なっている。画面中心に描かれた女性の足を洗っているニンフは、その行動と当時のオランダで着用されていた衣服を身にまとっていることで、研究者や美術史家の興味をひいてきた。女神ディアナの、神話でよく知られているドラマティックなエピソードを描いているのではなく、女性とその侍女が身づくろいをしているような静謐な印象を与える作品である。このような、女性の静謐な個人的な瞬間を切り取ったように見える作風は、年を経るにつれてフェルメールの作品に色濃く表れるようになっていった。

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  • 『ディアナとニンフたち』(蘭: Diana en haar Nimfen)は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールが1655年から1656年ごろに描いた絵画。キャンバスに油彩で描かれた、縦98.5 cm、横105cmの作品で、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵している。正確な制作年度は不明だが、現存するフェルメールの絵画としては最初期の作品ではないかとされている。ただし、研究者によっては『マリアとマルタの家のキリスト』のほうが制作時期が古いとするものもいる。 『ディアナとニンフたち』に見られる粛然とした雰囲気は、女神ディアナやニンフを描いたその他の絵画作品とはかなり趣が異なっている。画面中心に描かれた女性の足を洗っているニンフは、その行動と当時のオランダで着用されていた衣服を身にまとっていることで、研究者や美術史家の興味をひいてきた。女神ディアナの、神話でよく知られているドラマティックなエピソードを描いているのではなく、女性とその侍女が身づくろいをしているような静謐な印象を与える作品である。このような、女性の静謐な個人的な瞬間を切り取ったように見える作風は、年を経るにつれてフェルメールの作品に色濃く表れるようになっていった。 19世紀半ばまでの『ディアナとニンフたち』の来歴は一切分かっておらず、フェルメールの真作であると広く認められたのも、よく似た作風の『マリアとマルタの家のキリスト』がフェルメール作であると鑑定された20世紀になってからである。また、画面右側が15cm程度裁断されているほか、2000年ごろになるまで、画面右上隅の青空が19世紀になってから描き加えられたものであることも分かっていなかった。 支持体に使用されているのは平織りのキャンバスである。フェルメールは製作過程の最初の段階で、ダークブラウンの顔料を用いて下絵となる大まかな構図を描いた。ディアナの足を洗うニンフのスカートに、この下絵が透けて見える部分がある。犬の耳は、フェルメールが絵筆の柄部分を使用して引っかくような技法で被毛を表現している。また、画面中央左寄りに絵具が垂直に剥離している箇所がある。 (ja)
  • 『ディアナとニンフたち』(蘭: Diana en haar Nimfen)は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールが1655年から1656年ごろに描いた絵画。キャンバスに油彩で描かれた、縦98.5 cm、横105cmの作品で、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵している。正確な制作年度は不明だが、現存するフェルメールの絵画としては最初期の作品ではないかとされている。ただし、研究者によっては『マリアとマルタの家のキリスト』のほうが制作時期が古いとするものもいる。 『ディアナとニンフたち』に見られる粛然とした雰囲気は、女神ディアナやニンフを描いたその他の絵画作品とはかなり趣が異なっている。画面中心に描かれた女性の足を洗っているニンフは、その行動と当時のオランダで着用されていた衣服を身にまとっていることで、研究者や美術史家の興味をひいてきた。女神ディアナの、神話でよく知られているドラマティックなエピソードを描いているのではなく、女性とその侍女が身づくろいをしているような静謐な印象を与える作品である。このような、女性の静謐な個人的な瞬間を切り取ったように見える作風は、年を経るにつれてフェルメールの作品に色濃く表れるようになっていった。 19世紀半ばまでの『ディアナとニンフたち』の来歴は一切分かっておらず、フェルメールの真作であると広く認められたのも、よく似た作風の『マリアとマルタの家のキリスト』がフェルメール作であると鑑定された20世紀になってからである。また、画面右側が15cm程度裁断されているほか、2000年ごろになるまで、画面右上隅の青空が19世紀になってから描き加えられたものであることも分かっていなかった。 支持体に使用されているのは平織りのキャンバスである。フェルメールは製作過程の最初の段階で、ダークブラウンの顔料を用いて下絵となる大まかな構図を描いた。ディアナの足を洗うニンフのスカートに、この下絵が透けて見える部分がある。犬の耳は、フェルメールが絵筆の柄部分を使用して引っかくような技法で被毛を表現している。また、画面中央左寄りに絵具が垂直に剥離している箇所がある。 (ja)
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  • 『ディアナとニンフたち』(蘭: Diana en haar Nimfen)は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールが1655年から1656年ごろに描いた絵画。キャンバスに油彩で描かれた、縦98.5 cm、横105cmの作品で、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵している。正確な制作年度は不明だが、現存するフェルメールの絵画としては最初期の作品ではないかとされている。ただし、研究者によっては『マリアとマルタの家のキリスト』のほうが制作時期が古いとするものもいる。 『ディアナとニンフたち』に見られる粛然とした雰囲気は、女神ディアナやニンフを描いたその他の絵画作品とはかなり趣が異なっている。画面中心に描かれた女性の足を洗っているニンフは、その行動と当時のオランダで着用されていた衣服を身にまとっていることで、研究者や美術史家の興味をひいてきた。女神ディアナの、神話でよく知られているドラマティックなエピソードを描いているのではなく、女性とその侍女が身づくろいをしているような静謐な印象を与える作品である。このような、女性の静謐な個人的な瞬間を切り取ったように見える作風は、年を経るにつれてフェルメールの作品に色濃く表れるようになっていった。 (ja)
  • 『ディアナとニンフたち』(蘭: Diana en haar Nimfen)は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールが1655年から1656年ごろに描いた絵画。キャンバスに油彩で描かれた、縦98.5 cm、横105cmの作品で、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵している。正確な制作年度は不明だが、現存するフェルメールの絵画としては最初期の作品ではないかとされている。ただし、研究者によっては『マリアとマルタの家のキリスト』のほうが制作時期が古いとするものもいる。 『ディアナとニンフたち』に見られる粛然とした雰囲気は、女神ディアナやニンフを描いたその他の絵画作品とはかなり趣が異なっている。画面中心に描かれた女性の足を洗っているニンフは、その行動と当時のオランダで着用されていた衣服を身にまとっていることで、研究者や美術史家の興味をひいてきた。女神ディアナの、神話でよく知られているドラマティックなエピソードを描いているのではなく、女性とその侍女が身づくろいをしているような静謐な印象を与える作品である。このような、女性の静謐な個人的な瞬間を切り取ったように見える作風は、年を経るにつれてフェルメールの作品に色濃く表れるようになっていった。 (ja)
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