チャム語(チャムご)は、オーストロネシア語族に属する言語。カンボジアとベトナムに住むチャム族が話す言葉である。オーストロアジア語族に属するベトナム語(越語)やクメール語(棉語)とは語族レベルで異なる。マレー・ポリネシア語派のなかでアチェ語に近いとされ(Thurgood 1999, Sidwel 2005)、回輝語などを含めてチャム諸語に区分される。 チャム文字(アカン・シャ Akhar Thrah)と呼ばれる、南インドのパッラヴァ・グランタ文字と同系統の文字を持ち、アラビア文字(アカン・ジャヴァー Akhar Jawa)と併用する。近世パーンドゥランガ王朝(ヌガン・チャム Nagar Cam、順城鎮)は17世紀末~19世紀初めまでベトナム帝国(阮朝)の藩屏として自治を維持し、漢文とチャム文による膨大な文献群(Harak Patao Cam, パーンドゥランガ・チャンパー王家文書)が残る(Po Dharma Quang 2005)。

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  • チャム語(チャムご)は、オーストロネシア語族に属する言語。カンボジアとベトナムに住むチャム族が話す言葉である。オーストロアジア語族に属するベトナム語(越語)やクメール語(棉語)とは語族レベルで異なる。マレー・ポリネシア語派のなかでアチェ語に近いとされ(Thurgood 1999, Sidwel 2005)、回輝語などを含めてチャム諸語に区分される。 チャム文字(アカン・シャ Akhar Thrah)と呼ばれる、南インドのパッラヴァ・グランタ文字と同系統の文字を持ち、アラビア文字(アカン・ジャヴァー Akhar Jawa)と併用する。近世パーンドゥランガ王朝(ヌガン・チャム Nagar Cam、順城鎮)は17世紀末~19世紀初めまでベトナム帝国(阮朝)の藩屏として自治を維持し、漢文とチャム文による膨大な文献群(Harak Patao Cam, パーンドゥランガ・チャンパー王家文書)が残る(Po Dharma Quang 2005)。 呪符体(アカン・リ Akhar Rik)は中世インド(パッラヴァ朝・パーンディヤ朝)、マレー半島、ジャワ島の碑文書体に近く、現代クメール文字のムール体と似た書体である。チャム文字アカン・シャはフィリピンのとの関係が指摘され、現存するパッラヴァ系文字の中ではクメール文字のムール書体が比較的似ている。2014年に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所夏季言語講習で集中講義が行われ、Trương Văn Món Sakaya と新江利彦による「チャム語教程」「チャム語語彙集」が同研究所のインターネットサイト上で公開されている。本来のチャム語は有声無声・有気無気の区別が明確で、声調は無かったと考えられるが、海南島の回輝話とベトナムのチャム語には周辺言語(漢語、越語)からの借用語が多く、それらの借用語は声調つきで正しく発音される。有声音が低声調無声音として、無声音が高声調無声音として発音される傾向がある。ワ行接近音(有声音)はヴァで発音される。チャム諸語話者はオーストロアジア語族のバナール族との共通語彙が極めて多く、かつてはオーストロアジア語族とされた時期もあった。 (ja)
  • チャム語(チャムご)は、オーストロネシア語族に属する言語。カンボジアとベトナムに住むチャム族が話す言葉である。オーストロアジア語族に属するベトナム語(越語)やクメール語(棉語)とは語族レベルで異なる。マレー・ポリネシア語派のなかでアチェ語に近いとされ(Thurgood 1999, Sidwel 2005)、回輝語などを含めてチャム諸語に区分される。 チャム文字(アカン・シャ Akhar Thrah)と呼ばれる、南インドのパッラヴァ・グランタ文字と同系統の文字を持ち、アラビア文字(アカン・ジャヴァー Akhar Jawa)と併用する。近世パーンドゥランガ王朝(ヌガン・チャム Nagar Cam、順城鎮)は17世紀末~19世紀初めまでベトナム帝国(阮朝)の藩屏として自治を維持し、漢文とチャム文による膨大な文献群(Harak Patao Cam, パーンドゥランガ・チャンパー王家文書)が残る(Po Dharma Quang 2005)。 呪符体(アカン・リ Akhar Rik)は中世インド(パッラヴァ朝・パーンディヤ朝)、マレー半島、ジャワ島の碑文書体に近く、現代クメール文字のムール体と似た書体である。チャム文字アカン・シャはフィリピンのとの関係が指摘され、現存するパッラヴァ系文字の中ではクメール文字のムール書体が比較的似ている。2014年に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所夏季言語講習で集中講義が行われ、Trương Văn Món Sakaya と新江利彦による「チャム語教程」「チャム語語彙集」が同研究所のインターネットサイト上で公開されている。本来のチャム語は有声無声・有気無気の区別が明確で、声調は無かったと考えられるが、海南島の回輝話とベトナムのチャム語には周辺言語(漢語、越語)からの借用語が多く、それらの借用語は声調つきで正しく発音される。有声音が低声調無声音として、無声音が高声調無声音として発音される傾向がある。ワ行接近音(有声音)はヴァで発音される。チャム諸語話者はオーストロアジア語族のバナール族との共通語彙が極めて多く、かつてはオーストロアジア語族とされた時期もあった。 (ja)
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  • チャム語(チャムご)は、オーストロネシア語族に属する言語。カンボジアとベトナムに住むチャム族が話す言葉である。オーストロアジア語族に属するベトナム語(越語)やクメール語(棉語)とは語族レベルで異なる。マレー・ポリネシア語派のなかでアチェ語に近いとされ(Thurgood 1999, Sidwel 2005)、回輝語などを含めてチャム諸語に区分される。 チャム文字(アカン・シャ Akhar Thrah)と呼ばれる、南インドのパッラヴァ・グランタ文字と同系統の文字を持ち、アラビア文字(アカン・ジャヴァー Akhar Jawa)と併用する。近世パーンドゥランガ王朝(ヌガン・チャム Nagar Cam、順城鎮)は17世紀末~19世紀初めまでベトナム帝国(阮朝)の藩屏として自治を維持し、漢文とチャム文による膨大な文献群(Harak Patao Cam, パーンドゥランガ・チャンパー王家文書)が残る(Po Dharma Quang 2005)。 (ja)
  • チャム語(チャムご)は、オーストロネシア語族に属する言語。カンボジアとベトナムに住むチャム族が話す言葉である。オーストロアジア語族に属するベトナム語(越語)やクメール語(棉語)とは語族レベルで異なる。マレー・ポリネシア語派のなかでアチェ語に近いとされ(Thurgood 1999, Sidwel 2005)、回輝語などを含めてチャム諸語に区分される。 チャム文字(アカン・シャ Akhar Thrah)と呼ばれる、南インドのパッラヴァ・グランタ文字と同系統の文字を持ち、アラビア文字(アカン・ジャヴァー Akhar Jawa)と併用する。近世パーンドゥランガ王朝(ヌガン・チャム Nagar Cam、順城鎮)は17世紀末~19世紀初めまでベトナム帝国(阮朝)の藩屏として自治を維持し、漢文とチャム文による膨大な文献群(Harak Patao Cam, パーンドゥランガ・チャンパー王家文書)が残る(Po Dharma Quang 2005)。 (ja)
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