タマホコリカビ類 (タマホコリカビるい、英: dictyostelids) は、アメーボゾアに属する原生生物の1群である。名に「カビ」とあるが、菌類とは縁遠い。ディクティオステリウム類、ディクチオステリウム類、ジクチオステリウム類ともよばれる。栄養体 (通常時の体) は土壌中に生育する単細胞のアメーバ細胞 (粘菌アメーバ) であり、細菌などを捕食し、二分裂によって増殖する。飢餓状態などになると細胞が集合し、細胞の集合体 (偽変形体) は柄と胞子塊からなる子実体 (累積子実体) を形成する (右図)。柄となった細胞はそのまま死ぬが、この行動は他の細胞の散布を助ける利他的行動ともみなされ、タマホコリカビ類は社会性アメーバ (social amoeba) ともよばれる。有性生殖時にはアメーバ細胞が融合、周囲のアメーバ細胞を捕食して大型化し、細胞壁を形成してマクロシストを形成する。マクロシストは耐久細胞となり、環境条件が好転すると減数分裂を行って多数のアメーバ細胞を放出する。タマホコリカビ類、特にキイロタマホコリカビは、モデル生物として生物学のさまざまな分野で用いられている。

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  • タマホコリカビ類 (タマホコリカビるい、英: dictyostelids) は、アメーボゾアに属する原生生物の1群である。名に「カビ」とあるが、菌類とは縁遠い。ディクティオステリウム類、ディクチオステリウム類、ジクチオステリウム類ともよばれる。栄養体 (通常時の体) は土壌中に生育する単細胞のアメーバ細胞 (粘菌アメーバ) であり、細菌などを捕食し、二分裂によって増殖する。飢餓状態などになると細胞が集合し、細胞の集合体 (偽変形体) は柄と胞子塊からなる子実体 (累積子実体) を形成する (右図)。柄となった細胞はそのまま死ぬが、この行動は他の細胞の散布を助ける利他的行動ともみなされ、タマホコリカビ類は社会性アメーバ (social amoeba) ともよばれる。有性生殖時にはアメーバ細胞が融合、周囲のアメーバ細胞を捕食して大型化し、細胞壁を形成してマクロシストを形成する。マクロシストは耐久細胞となり、環境条件が好転すると減数分裂を行って多数のアメーバ細胞を放出する。タマホコリカビ類、特にキイロタマホコリカビは、モデル生物として生物学のさまざまな分野で用いられている。 分類学的には、タマホコリカビ綱 (学名: Dictyostelea, Dictyosteliomycetes) またはタマホコリカビ亜綱 (学名: Dictyostelia, Dictyosteliomycetidae) にまとめられる。タマホコリカビ類は、系統的には変形菌 (真正粘菌) に近縁であると考えられている。古くは、タマホコリカビ類は細胞性粘菌 (アクラシス綱) に分類されていたが、このまとまりは多系統群であることが明らかとなっており、現在では「細胞性粘菌」は分類群名としては用いられない。現在では細胞性粘菌といえばタマホコリカビ類を意味することが多いが、細胞性粘菌の中にはアクラシス類やコプロミクサ類など系統的に全く異なる生物群が含まれていた。そのため、特にタマホコリカビ類をディクチオ型細胞性粘菌、ジクチオステリウム型細胞性粘菌 (dictyostelid cellular slime molds) とよぶこともある。2020年現在、2目4科12属200種ほどが知られている。 (ja)
  • タマホコリカビ類 (タマホコリカビるい、英: dictyostelids) は、アメーボゾアに属する原生生物の1群である。名に「カビ」とあるが、菌類とは縁遠い。ディクティオステリウム類、ディクチオステリウム類、ジクチオステリウム類ともよばれる。栄養体 (通常時の体) は土壌中に生育する単細胞のアメーバ細胞 (粘菌アメーバ) であり、細菌などを捕食し、二分裂によって増殖する。飢餓状態などになると細胞が集合し、細胞の集合体 (偽変形体) は柄と胞子塊からなる子実体 (累積子実体) を形成する (右図)。柄となった細胞はそのまま死ぬが、この行動は他の細胞の散布を助ける利他的行動ともみなされ、タマホコリカビ類は社会性アメーバ (social amoeba) ともよばれる。有性生殖時にはアメーバ細胞が融合、周囲のアメーバ細胞を捕食して大型化し、細胞壁を形成してマクロシストを形成する。マクロシストは耐久細胞となり、環境条件が好転すると減数分裂を行って多数のアメーバ細胞を放出する。タマホコリカビ類、特にキイロタマホコリカビは、モデル生物として生物学のさまざまな分野で用いられている。 分類学的には、タマホコリカビ綱 (学名: Dictyostelea, Dictyosteliomycetes) またはタマホコリカビ亜綱 (学名: Dictyostelia, Dictyosteliomycetidae) にまとめられる。タマホコリカビ類は、系統的には変形菌 (真正粘菌) に近縁であると考えられている。古くは、タマホコリカビ類は細胞性粘菌 (アクラシス綱) に分類されていたが、このまとまりは多系統群であることが明らかとなっており、現在では「細胞性粘菌」は分類群名としては用いられない。現在では細胞性粘菌といえばタマホコリカビ類を意味することが多いが、細胞性粘菌の中にはアクラシス類やコプロミクサ類など系統的に全く異なる生物群が含まれていた。そのため、特にタマホコリカビ類をディクチオ型細胞性粘菌、ジクチオステリウム型細胞性粘菌 (dictyostelid cellular slime molds) とよぶこともある。2020年現在、2目4科12属200種ほどが知られている。 (ja)
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  • タマホコリカビ類 (タマホコリカビるい、英: dictyostelids) は、アメーボゾアに属する原生生物の1群である。名に「カビ」とあるが、菌類とは縁遠い。ディクティオステリウム類、ディクチオステリウム類、ジクチオステリウム類ともよばれる。栄養体 (通常時の体) は土壌中に生育する単細胞のアメーバ細胞 (粘菌アメーバ) であり、細菌などを捕食し、二分裂によって増殖する。飢餓状態などになると細胞が集合し、細胞の集合体 (偽変形体) は柄と胞子塊からなる子実体 (累積子実体) を形成する (右図)。柄となった細胞はそのまま死ぬが、この行動は他の細胞の散布を助ける利他的行動ともみなされ、タマホコリカビ類は社会性アメーバ (social amoeba) ともよばれる。有性生殖時にはアメーバ細胞が融合、周囲のアメーバ細胞を捕食して大型化し、細胞壁を形成してマクロシストを形成する。マクロシストは耐久細胞となり、環境条件が好転すると減数分裂を行って多数のアメーバ細胞を放出する。タマホコリカビ類、特にキイロタマホコリカビは、モデル生物として生物学のさまざまな分野で用いられている。 (ja)
  • タマホコリカビ類 (タマホコリカビるい、英: dictyostelids) は、アメーボゾアに属する原生生物の1群である。名に「カビ」とあるが、菌類とは縁遠い。ディクティオステリウム類、ディクチオステリウム類、ジクチオステリウム類ともよばれる。栄養体 (通常時の体) は土壌中に生育する単細胞のアメーバ細胞 (粘菌アメーバ) であり、細菌などを捕食し、二分裂によって増殖する。飢餓状態などになると細胞が集合し、細胞の集合体 (偽変形体) は柄と胞子塊からなる子実体 (累積子実体) を形成する (右図)。柄となった細胞はそのまま死ぬが、この行動は他の細胞の散布を助ける利他的行動ともみなされ、タマホコリカビ類は社会性アメーバ (social amoeba) ともよばれる。有性生殖時にはアメーバ細胞が融合、周囲のアメーバ細胞を捕食して大型化し、細胞壁を形成してマクロシストを形成する。マクロシストは耐久細胞となり、環境条件が好転すると減数分裂を行って多数のアメーバ細胞を放出する。タマホコリカビ類、特にキイロタマホコリカビは、モデル生物として生物学のさまざまな分野で用いられている。 (ja)
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