ステンレス鋼とはクロムを含み耐食性の高い鋼の一種である。ステンレス鋼の歴史(ステンレスこうのれきし)は、ステンレス鋼の必須元素であるクロムの発見にさかのぼる。 1761年、シベリアの鉱山で赤みがかかったオレンジ色の新種の鉱石が発見された。フランスのルイ=ニコラ・ヴォークランがその鉱石を分析し、未知の金属を発見し、クロムと名付けた。その後、1820年代、イギリスの合金鋼研究を経て、フランスのピエール・ベルチェがクロム・鉄合金の研究を行った。ベルチェは初のフェロクロムを作製し、作製したクロム鋼は切れ味に優れることなどを報告した。その後もクロム・鉄合金の研究報告は散発するが、19世紀中に現在認められているようなステンレス鋼の発見・実用化には至ることはなかった。一方で、19世紀後半のの成立やテルミット法の発明により、ステンレス鋼誕生の素地は出来上がりつつあった。

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  • ステンレス鋼とはクロムを含み耐食性の高い鋼の一種である。ステンレス鋼の歴史(ステンレスこうのれきし)は、ステンレス鋼の必須元素であるクロムの発見にさかのぼる。 1761年、シベリアの鉱山で赤みがかかったオレンジ色の新種の鉱石が発見された。フランスのルイ=ニコラ・ヴォークランがその鉱石を分析し、未知の金属を発見し、クロムと名付けた。その後、1820年代、イギリスの合金鋼研究を経て、フランスのピエール・ベルチェがクロム・鉄合金の研究を行った。ベルチェは初のフェロクロムを作製し、作製したクロム鋼は切れ味に優れることなどを報告した。その後もクロム・鉄合金の研究報告は散発するが、19世紀中に現在認められているようなステンレス鋼の発見・実用化には至ることはなかった。一方で、19世紀後半のの成立やテルミット法の発明により、ステンレス鋼誕生の素地は出来上がりつつあった。 20世紀に入ると、クロム・鉄合金の基礎研究が深まり、ステンレス鋼の学術的基盤が確立した。現在では、ステンレス鋼は金属組織別にオーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト系、析出硬化系に大別される。1900年代、が、耐食性については指摘できなかったが、マルテンサイト系、フェライト系、およびオーステナイト系の組織と組成を初めて体系的に明らかにした。また、フィリップ・モンナルツが、クロム・鉄合金の耐食性とその原理について現在でも通じるような優れた知見を報告した。1910年代になると、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系ステンレス鋼が実用化され、ステンレス鋼が工業的・商業的に発明された。マルテンサイト系の発明者はハリー・ブレアリーとすることが一般的で、オーステナイト系の発明者はととすることが一般的である。フェライト系の発明者は特定の人物や組織に定め難い。残る2つのオーステナイト・フェライト系と析出硬化系は、1930年代・1940年代に実用化された。 基本鋼種が発明されたステンレス鋼は、利用拡大と技術的発展を遂げる。イギリス、ドイツ、米国、その他諸国で生産され、第二次世界大戦前はカトラリー、建築物の外装や装飾、鉄道車両、ナイフ、、航空用エンジンの排気弁、などで使われる。1950年時点、西側世界のステンレス鋼生産量は約100万トンに達していた。量産初期のステンレス鋼は充分な精錬ができなかったため材質のよいものではなかったが、1940年代に酸素脱炭法、1960年代に・が実用化され、品質が飛躍的に向上した。さらに、1950年代に連続鋳造法やも導入された。これらの生産技術の進歩によって低価格化が進み、ステンレス鋼薄板の使用が耐久消費財でも一般的になっていった。1970年代には高純度フェライト系や耐海水用オーステナイト系などの高性能な鋼種が開発され、現在の日本産業規格には100種類以上のステンレス鋼が登録されている。2018年現在、全世界のステンレス鋼生産量は約5000万トンに達している。 (ja)
  • ステンレス鋼とはクロムを含み耐食性の高い鋼の一種である。ステンレス鋼の歴史(ステンレスこうのれきし)は、ステンレス鋼の必須元素であるクロムの発見にさかのぼる。 1761年、シベリアの鉱山で赤みがかかったオレンジ色の新種の鉱石が発見された。フランスのルイ=ニコラ・ヴォークランがその鉱石を分析し、未知の金属を発見し、クロムと名付けた。その後、1820年代、イギリスの合金鋼研究を経て、フランスのピエール・ベルチェがクロム・鉄合金の研究を行った。ベルチェは初のフェロクロムを作製し、作製したクロム鋼は切れ味に優れることなどを報告した。その後もクロム・鉄合金の研究報告は散発するが、19世紀中に現在認められているようなステンレス鋼の発見・実用化には至ることはなかった。一方で、19世紀後半のの成立やテルミット法の発明により、ステンレス鋼誕生の素地は出来上がりつつあった。 20世紀に入ると、クロム・鉄合金の基礎研究が深まり、ステンレス鋼の学術的基盤が確立した。現在では、ステンレス鋼は金属組織別にオーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト系、析出硬化系に大別される。1900年代、が、耐食性については指摘できなかったが、マルテンサイト系、フェライト系、およびオーステナイト系の組織と組成を初めて体系的に明らかにした。また、フィリップ・モンナルツが、クロム・鉄合金の耐食性とその原理について現在でも通じるような優れた知見を報告した。1910年代になると、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系ステンレス鋼が実用化され、ステンレス鋼が工業的・商業的に発明された。マルテンサイト系の発明者はハリー・ブレアリーとすることが一般的で、オーステナイト系の発明者はととすることが一般的である。フェライト系の発明者は特定の人物や組織に定め難い。残る2つのオーステナイト・フェライト系と析出硬化系は、1930年代・1940年代に実用化された。 基本鋼種が発明されたステンレス鋼は、利用拡大と技術的発展を遂げる。イギリス、ドイツ、米国、その他諸国で生産され、第二次世界大戦前はカトラリー、建築物の外装や装飾、鉄道車両、ナイフ、、航空用エンジンの排気弁、などで使われる。1950年時点、西側世界のステンレス鋼生産量は約100万トンに達していた。量産初期のステンレス鋼は充分な精錬ができなかったため材質のよいものではなかったが、1940年代に酸素脱炭法、1960年代に・が実用化され、品質が飛躍的に向上した。さらに、1950年代に連続鋳造法やも導入された。これらの生産技術の進歩によって低価格化が進み、ステンレス鋼薄板の使用が耐久消費財でも一般的になっていった。1970年代には高純度フェライト系や耐海水用オーステナイト系などの高性能な鋼種が開発され、現在の日本産業規格には100種類以上のステンレス鋼が登録されている。2018年現在、全世界のステンレス鋼生産量は約5000万トンに達している。 (ja)
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  • ステンレス鋼とはクロムを含み耐食性の高い鋼の一種である。ステンレス鋼の歴史(ステンレスこうのれきし)は、ステンレス鋼の必須元素であるクロムの発見にさかのぼる。 1761年、シベリアの鉱山で赤みがかかったオレンジ色の新種の鉱石が発見された。フランスのルイ=ニコラ・ヴォークランがその鉱石を分析し、未知の金属を発見し、クロムと名付けた。その後、1820年代、イギリスの合金鋼研究を経て、フランスのピエール・ベルチェがクロム・鉄合金の研究を行った。ベルチェは初のフェロクロムを作製し、作製したクロム鋼は切れ味に優れることなどを報告した。その後もクロム・鉄合金の研究報告は散発するが、19世紀中に現在認められているようなステンレス鋼の発見・実用化には至ることはなかった。一方で、19世紀後半のの成立やテルミット法の発明により、ステンレス鋼誕生の素地は出来上がりつつあった。 (ja)
  • ステンレス鋼とはクロムを含み耐食性の高い鋼の一種である。ステンレス鋼の歴史(ステンレスこうのれきし)は、ステンレス鋼の必須元素であるクロムの発見にさかのぼる。 1761年、シベリアの鉱山で赤みがかかったオレンジ色の新種の鉱石が発見された。フランスのルイ=ニコラ・ヴォークランがその鉱石を分析し、未知の金属を発見し、クロムと名付けた。その後、1820年代、イギリスの合金鋼研究を経て、フランスのピエール・ベルチェがクロム・鉄合金の研究を行った。ベルチェは初のフェロクロムを作製し、作製したクロム鋼は切れ味に優れることなどを報告した。その後もクロム・鉄合金の研究報告は散発するが、19世紀中に現在認められているようなステンレス鋼の発見・実用化には至ることはなかった。一方で、19世紀後半のの成立やテルミット法の発明により、ステンレス鋼誕生の素地は出来上がりつつあった。 (ja)
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  • ステンレス鋼の歴史 (ja)
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