数学の実解析におけるコーシーの函数方程式(コーシーのかんすうほうていしき、英: Cauchy's functional equation)は、オーギュスタン・ルイ・コーシーがその著書『解析教程』において扱ったことに名を因む、 で与えられる函数方程式である。一般に、この方程式を満足する函数・写像は加法的であると言う(しかし、以下、本項では f として実函数の場合のみを取り扱う)。 * この方程式を ℚ 上で(つまり有理変数有理数値の函数)で考える場合、初等代数学的な方法で解函数が f: x ↦ cx (c は有理数) という形の函数族(ℚ-線型写像)のみであることが確かめられる。 ℝ 上で実函数解を考えるとき、c を任意の実数に取り換えた族 f: x ↦ cx はやはりこの方程式の解となるが、それ以外にも極めて複雑な解が存在しうる。それでもなお、適当な「正則性条件」を設定することによって、病的な解を排除することはできる(中には極めて弱い条件のものもある)。例えば、加法的函数 f: ℝ → ℝ が ℝ-線型となる条件として以下のようなものが挙げられる: ヒルベルトのはこの方程式の一般化である。実数 c が存在して f(cx) ≠ cf(x) となるような解函数は、コーシー-ハメル函数と呼ばれ、を三次元からより高次元へ拡張するのに用いるデーン-ハドヴィガー不変量に用いられる。

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  • 数学の実解析におけるコーシーの函数方程式(コーシーのかんすうほうていしき、英: Cauchy's functional equation)は、オーギュスタン・ルイ・コーシーがその著書『解析教程』において扱ったことに名を因む、 で与えられる函数方程式である。一般に、この方程式を満足する函数・写像は加法的であると言う(しかし、以下、本項では f として実函数の場合のみを取り扱う)。 * この方程式を ℚ 上で(つまり有理変数有理数値の函数)で考える場合、初等代数学的な方法で解函数が f: x ↦ cx (c は有理数) という形の函数族(ℚ-線型写像)のみであることが確かめられる。 ℝ 上で実函数解を考えるとき、c を任意の実数に取り換えた族 f: x ↦ cx はやはりこの方程式の解となるが、それ以外にも極めて複雑な解が存在しうる。それでもなお、適当な「正則性条件」を設定することによって、病的な解を排除することはできる(中には極めて弱い条件のものもある)。例えば、加法的函数 f: ℝ → ℝ が ℝ-線型となる条件として以下のようなものが挙げられる: * 連続性: f が ℝ の至る所で連続. より弱く、f が少なくとも一点で連続 (Darboux in 1875). * 単調性: f が任意の区間上で単調. * 有界性: f が任意の区間上で有界. * 可測性: f がルベーグ可測. 逆に f に何の制約条件も課さなければ、(選択公理を仮定して)無限個の非線型函数がこの方程式を満足することが示せる。1905年には、今日ではハメル基底と呼ばれる ℝ の ℚ 上の基底を用いて、それを証明した。そのような解函数はハメル函数と呼ばれることもある。 ヒルベルトのはこの方程式の一般化である。実数 c が存在して f(cx) ≠ cf(x) となるような解函数は、コーシー-ハメル函数と呼ばれ、を三次元からより高次元へ拡張するのに用いるデーン-ハドヴィガー不変量に用いられる。 (ja)
  • 数学の実解析におけるコーシーの函数方程式(コーシーのかんすうほうていしき、英: Cauchy's functional equation)は、オーギュスタン・ルイ・コーシーがその著書『解析教程』において扱ったことに名を因む、 で与えられる函数方程式である。一般に、この方程式を満足する函数・写像は加法的であると言う(しかし、以下、本項では f として実函数の場合のみを取り扱う)。 * この方程式を ℚ 上で(つまり有理変数有理数値の函数)で考える場合、初等代数学的な方法で解函数が f: x ↦ cx (c は有理数) という形の函数族(ℚ-線型写像)のみであることが確かめられる。 ℝ 上で実函数解を考えるとき、c を任意の実数に取り換えた族 f: x ↦ cx はやはりこの方程式の解となるが、それ以外にも極めて複雑な解が存在しうる。それでもなお、適当な「正則性条件」を設定することによって、病的な解を排除することはできる(中には極めて弱い条件のものもある)。例えば、加法的函数 f: ℝ → ℝ が ℝ-線型となる条件として以下のようなものが挙げられる: * 連続性: f が ℝ の至る所で連続. より弱く、f が少なくとも一点で連続 (Darboux in 1875). * 単調性: f が任意の区間上で単調. * 有界性: f が任意の区間上で有界. * 可測性: f がルベーグ可測. 逆に f に何の制約条件も課さなければ、(選択公理を仮定して)無限個の非線型函数がこの方程式を満足することが示せる。1905年には、今日ではハメル基底と呼ばれる ℝ の ℚ 上の基底を用いて、それを証明した。そのような解函数はハメル函数と呼ばれることもある。 ヒルベルトのはこの方程式の一般化である。実数 c が存在して f(cx) ≠ cf(x) となるような解函数は、コーシー-ハメル函数と呼ばれ、を三次元からより高次元へ拡張するのに用いるデーン-ハドヴィガー不変量に用いられる。 (ja)
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  • 数学の実解析におけるコーシーの函数方程式(コーシーのかんすうほうていしき、英: Cauchy's functional equation)は、オーギュスタン・ルイ・コーシーがその著書『解析教程』において扱ったことに名を因む、 で与えられる函数方程式である。一般に、この方程式を満足する函数・写像は加法的であると言う(しかし、以下、本項では f として実函数の場合のみを取り扱う)。 * この方程式を ℚ 上で(つまり有理変数有理数値の函数)で考える場合、初等代数学的な方法で解函数が f: x ↦ cx (c は有理数) という形の函数族(ℚ-線型写像)のみであることが確かめられる。 ℝ 上で実函数解を考えるとき、c を任意の実数に取り換えた族 f: x ↦ cx はやはりこの方程式の解となるが、それ以外にも極めて複雑な解が存在しうる。それでもなお、適当な「正則性条件」を設定することによって、病的な解を排除することはできる(中には極めて弱い条件のものもある)。例えば、加法的函数 f: ℝ → ℝ が ℝ-線型となる条件として以下のようなものが挙げられる: ヒルベルトのはこの方程式の一般化である。実数 c が存在して f(cx) ≠ cf(x) となるような解函数は、コーシー-ハメル函数と呼ばれ、を三次元からより高次元へ拡張するのに用いるデーン-ハドヴィガー不変量に用いられる。 (ja)
  • 数学の実解析におけるコーシーの函数方程式(コーシーのかんすうほうていしき、英: Cauchy's functional equation)は、オーギュスタン・ルイ・コーシーがその著書『解析教程』において扱ったことに名を因む、 で与えられる函数方程式である。一般に、この方程式を満足する函数・写像は加法的であると言う(しかし、以下、本項では f として実函数の場合のみを取り扱う)。 * この方程式を ℚ 上で(つまり有理変数有理数値の函数)で考える場合、初等代数学的な方法で解函数が f: x ↦ cx (c は有理数) という形の函数族(ℚ-線型写像)のみであることが確かめられる。 ℝ 上で実函数解を考えるとき、c を任意の実数に取り換えた族 f: x ↦ cx はやはりこの方程式の解となるが、それ以外にも極めて複雑な解が存在しうる。それでもなお、適当な「正則性条件」を設定することによって、病的な解を排除することはできる(中には極めて弱い条件のものもある)。例えば、加法的函数 f: ℝ → ℝ が ℝ-線型となる条件として以下のようなものが挙げられる: ヒルベルトのはこの方程式の一般化である。実数 c が存在して f(cx) ≠ cf(x) となるような解函数は、コーシー-ハメル函数と呼ばれ、を三次元からより高次元へ拡張するのに用いるデーン-ハドヴィガー不変量に用いられる。 (ja)
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