ゲーベン追跡戦(ゲーベンついせきせん)とは、第一次世界大戦勃発直後の1914年7月末から8月上旬にかけて、地中海で生起した軍事行動である。地中海戦隊に配備されていたドイツ帝国海軍の巡洋戦艦1隻と小型巡洋艦1隻がイギリス海軍の追跡を受け、中立国であったオスマン帝国のコンスタンティノープルに入港した。ロシアの南下政策に対してオスマン帝国は親独傾向を強めており、8月2日には同盟を締結していた。この状況下、ダーダネルス海峡を通過してトルコ領海に辿り着いたドイツ艦2隻を、オスマン帝国はドイツ帝国から受け入れ、乗組員ごとオスマン帝国海軍に編入した。ドイツ艦2隻の追跡劇と編入によりオスマン帝国と大英帝国(ロシア同盟国)の関係は悪化し、同年10月末にオスマン帝国が中央同盟国側として参戦する要因となった。