ケニング(古ノルド語: kenning 英語発音: [ˈkɛnɪŋ] アイスランド語発音: [cʰɛnːiŋk])は、具体的な名詞の一単語の代わりに比喩的な複合語をあえて使う修辞技法の一つで、迂言法の一種とされる。ケニングの技法は、古ノルド語およびアイスランド語の詩と強く結びついている。関連の深いもう一つの修辞技法であると並んで、長きに渡ってアイスランド詩(など)を特徴づける要素であり続けた。 ケニングは基底語と決定素の2つの部分からなる。例えば、「剣」を意味する"íss rauðra randa"「赤い盾のつらら」というケニングの基底語はiss(つらら)であり、決定素はrǫnd(盾)である。そのケニングが指すもの、人、場所などを、指示物(referent)と呼ぶ(上記の例では指示物は剣である)。ケニングを訳す場合、ひとまとまりの複合語として訳出する場合が多いが、実際の古ノルド語詩においては一般的な語順とは異なる場合もあるし、構成要素が必ずしも隣り合っているわけでもない。 もともとは古ノルド語およびアイスランド語の技法を指したが、最近では類似した古英語の修辞技法も同様にケニングと呼ばれる。