アクリル酸(—さん、acrylic acid)は、化学式が CH2=CHCOOH の、もっとも簡単な不飽和カルボン酸である。IUPAC命名法では、2-プロペン酸(2-propenoic acid)と表される。融点 12 ℃、沸点 141.6 ℃の無色透明の液体で、特有の刺激臭を有する。CAS登録番号は[79-10-7]。酸解離定数(pKa)は4.25、粘度は1.3 mPa s(20℃)。 水、アルコール、エーテル、クロロホルムと混和する。 アクリル酸の工業的な合成法のひとつとしては、プロピレンの二段階酸化が挙げられる。プロピレンを金属触媒存在下に酸素で酸化してアクロレインとし、さらにもう一段階の酸化によりアクリル酸とする。一段目の酸化反応は、触媒表面におけるプロピレンのアリル位水素の引き抜きと格子酸素の挿入等を経て、アクロレインが生成して完了するとされ、触媒は Bi-Mo に各種金属が添加された複合金属酸化物が用いられている。二段目の酸化反応は、アクロレインのアルデヒド基からの水素引き抜きと酸素挿入によるアクリル酸への転換反応であり、触媒はMo-V に各種金属が添加された複合金属酸化物が用いられている。 アクリル酸をメチルエステルとしたアクリル酸メチル(methyl acrylate, MA)も、(PMA)などのポリマーの原料として重要である。

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  • アクリル酸(—さん、acrylic acid)は、化学式が CH2=CHCOOH の、もっとも簡単な不飽和カルボン酸である。IUPAC命名法では、2-プロペン酸(2-propenoic acid)と表される。融点 12 ℃、沸点 141.6 ℃の無色透明の液体で、特有の刺激臭を有する。CAS登録番号は[79-10-7]。酸解離定数(pKa)は4.25、粘度は1.3 mPa s(20℃)。 水、アルコール、エーテル、クロロホルムと混和する。 アクリル酸の工業的な合成法のひとつとしては、プロピレンの二段階酸化が挙げられる。プロピレンを金属触媒存在下に酸素で酸化してアクロレインとし、さらにもう一段階の酸化によりアクリル酸とする。一段目の酸化反応は、触媒表面におけるプロピレンのアリル位水素の引き抜きと格子酸素の挿入等を経て、アクロレインが生成して完了するとされ、触媒は Bi-Mo に各種金属が添加された複合金属酸化物が用いられている。二段目の酸化反応は、アクロレインのアルデヒド基からの水素引き抜きと酸素挿入によるアクリル酸への転換反応であり、触媒はMo-V に各種金属が添加された複合金属酸化物が用いられている。 アクリル酸は適当な重合開始剤、あるいは酸素などの作用により容易に重合し、(PAA)を与える。この重合体はカルボキシル基を多数持つために非常に親水性が高い。さらに架橋を加えて網目状としたポリマーは、ナトリウム塩の形とすると高吸水性ゲルとして優れた性能を示すことから、紙おむつ用などに用いられる。 アクリル酸をメチルエステルとしたアクリル酸メチル(methyl acrylate, MA)も、(PMA)などのポリマーの原料として重要である。 毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。また消防法による第4類危険物 第2石油類に該当する。 (ja)
  • アクリル酸(—さん、acrylic acid)は、化学式が CH2=CHCOOH の、もっとも簡単な不飽和カルボン酸である。IUPAC命名法では、2-プロペン酸(2-propenoic acid)と表される。融点 12 ℃、沸点 141.6 ℃の無色透明の液体で、特有の刺激臭を有する。CAS登録番号は[79-10-7]。酸解離定数(pKa)は4.25、粘度は1.3 mPa s(20℃)。 水、アルコール、エーテル、クロロホルムと混和する。 アクリル酸の工業的な合成法のひとつとしては、プロピレンの二段階酸化が挙げられる。プロピレンを金属触媒存在下に酸素で酸化してアクロレインとし、さらにもう一段階の酸化によりアクリル酸とする。一段目の酸化反応は、触媒表面におけるプロピレンのアリル位水素の引き抜きと格子酸素の挿入等を経て、アクロレインが生成して完了するとされ、触媒は Bi-Mo に各種金属が添加された複合金属酸化物が用いられている。二段目の酸化反応は、アクロレインのアルデヒド基からの水素引き抜きと酸素挿入によるアクリル酸への転換反応であり、触媒はMo-V に各種金属が添加された複合金属酸化物が用いられている。 アクリル酸は適当な重合開始剤、あるいは酸素などの作用により容易に重合し、(PAA)を与える。この重合体はカルボキシル基を多数持つために非常に親水性が高い。さらに架橋を加えて網目状としたポリマーは、ナトリウム塩の形とすると高吸水性ゲルとして優れた性能を示すことから、紙おむつ用などに用いられる。 アクリル酸をメチルエステルとしたアクリル酸メチル(methyl acrylate, MA)も、(PMA)などのポリマーの原料として重要である。 毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。また消防法による第4類危険物 第2石油類に該当する。 (ja)
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