『まらそん侍』(まらそんざむらい)は、1956年に公開された森一生監督の日本映画。 1855年(安政2年)に安中藩主板倉勝明が藩士に鍛錬のために行わせた「安政遠足(とおあし)」を題材の下敷きとしている。「安政遠足」は1955年に関連古文書が発見されたことでその存在が知られ、「日本最初のマラソン」として当時大きなニュースになった。これを受けて1955年11月に劇作家伊馬春部の原作による放送劇(ラジオドラマ)『安政奇聞まらそん侍』がNHKで放送された(1956年に伊馬の手で『まらそん侍』の題で小説版が刊行されている)。この放送劇を八木隆一郎が脚色し、映画化したのが本作である。 藩校に通う若侍たちが、名誉と恋の行方をかけて「遠足の儀」で競う物語で、これに藩の秘宝を盗み出して逃亡を図る盗賊や、若侍たちを妨害しようとする悪漢・悪家老の陰謀もからむ、娯楽作品である。