『ある崖上の感情』(あるがけうえのかんじょう)は、梶井基次郎の短編小説。4章から成る。瞰下景の窓を覗くことに興味を持つ2人の青年の対話と心境を綴った物語。崖上から眼下に見える家々の窓の中で展開される生活情景と、見る自分と見られる自分という二重人格(自己分離)のテーマを融合した実験的な心理小説である。人間世界の営みの哀歓を見つめ、「もののあはれ」の感慨を超えた「ある意力のある無常感」という厳粛な感情を抱くまでを描いている。同人誌活動をしている新人作家界隈で基次郎の存在感が高まり始めた頃の作品である。