石炭(せきたん、英:coal)とは、古代の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、そこで長い期間地熱や地圧を受けて変質(石炭化)したことにより生成した物質の総称。見方を変えれば植物化石でもある。石炭は古くから燃料として使われてきた。特に産業革命以後20世紀初頭まで最重要の燃料として、また化学工業や都市ガスの原料として「黒ダイヤ」「黒いダイヤ」「黒の宝石」等と呼ばれていた。第一次世界大戦前後から、艦船の燃料が石炭の2倍のエネルギーを持つ石油に切り替わり、戦後中東で大量の石油が採掘され1バレル1ドルの時代を迎えると、産業分野でも石油の導入が進み(エネルギー革命)西側先進国で採掘条件の悪い坑内掘り炭鉱は廃れた。しかし1970年代に二度の石油危機で石油がバレル12ドルになると、産業燃料や発電燃料は再び石炭に戻り、米国やドイツや中国などでは現在も最も重要なエネルギー源である。ただし、日本では国内炭鉱は復活しなかった。豪州の露天掘りなど、採掘条件の良い海外鉱山で機械化採炭された、安価な海外炭に切り替わっていたからである。海上荷動きも原油に次いで石炭と鉄鉱石が多く、30万トンの大型石炭船も就役している。他の化石燃料である石油や天然ガスに比べて、燃焼した際の二酸化炭素 (CO2) 排出量が多く地球温暖化問題の面からは不利だが、天然ガスも石油も数十年の埋蔵量しかないのに比べ、石炭は110年程度の埋蔵量がある。また石油と違い政情の安定している国の埋蔵量が多く、価格も安定しているほか、日本を含む多くの国にとって石炭は有事の場合に自給可能な唯一の燃料でもある。
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