言語学のゼロは、発音上は存在しないが、特定の理論において存在すると見なすものである。記号は Ø である。例えば、英語の cats /kæts/ と fish /fɪʃ/ において、複数を表すのは前者は /s/ だが、後者は何も無い。この何も無いのを、ゼロがあると見なし、複数形の接尾辞がそれぞれ -/s/ と -Ø であるとする。本居宣長は、『詞の玉緒』(1779年)で、「は」、「も」、「徒(ただ)」の係り結びが終止形になることを示した。この「徒」は助詞が付かない場合を意味し、ゼロに当たる。ただし、ゼロを乱用してはならない。ゼロが唯一の形態であるような形態素を設けることは避けるべきである。例えば、英語で単数形の接尾辞として Ø を設ける必要性は無い。例外なく接尾辞が無いのであるから、そのような接尾辞は存在しないと見なすほうが簡潔である。
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